「どうしても自宅で手軽に真っ白にしたい」という願望から、ネット上の非公式な情報や過激な裏技に手を出す人が後を絶ちません。しかしそこには、将来の歯の寿命を著しく縮める深刻なリスクが潜んでいます。
その筆頭が、ECサイトや個人輸入代行を通じて入手される過酸化水素歯磨き粉海外製品です。アメリカをはじめとする諸外国では、過酸化水素を配合したペーストがドラッグストアの店頭で一般販売されています。確かにこれらの製品はエナメル質内の色素を分解するため一定の漂白効果を発揮しますが、日本人が安易に使用するのは極めて危険です。
前述の通り、日本人の歯は欧米人に比べてエナメル質が薄いため、過酸化水素の刺激がダイレクトに歯髄(神経)へ伝わりやすく、数日使用しただけで耐えがたい知覚過敏や激痛を生じることが多発しています。また、海外製品は泡立ちを良くするための強力な界面活性剤や高濃度の研磨剤がブレンドされているケースが多く、歯肉の化学熱傷や粘膜剥離を引き起こす事例が日本歯科医師会や関係機関でも問題視されています。
さらにSNSのショート動画などで定期的にバズを起こす「重曹(炭酸水素ナトリウム)とレモン汁を混ぜて磨く」「活性炭パウダーでこする」といった民間療法も、絶対に避けるべき危険な行為です。
工業用や掃除用にも使われる重曹はモース硬度が高く、クレンザーで陶器の洗面台をこするのと同じ破壊力を持ちます。一時的にステインが剥ぎ取られて白くなったように見えても、電子顕微鏡レベルで見ればエナメル質は無数の深い溝でズタズタに削り取られています。傷ついた歯の表面は以前よりも格段に着色汚れが入り込みやすくなり、数ヶ月後には使用前を上回る濃い黄ばみが定着するという最悪の悪循環を招くことになります。