どんなに優れた隠し味も、タイミングと量を誤れば鍋全体のバランスを破壊してしまう。隠し味を極める上で絶対に知っておくべきは、「煮込み時に入れるもの」と「火を止めてから入れるもの」の厳格な区別だ。
玉ねぎや肉とともにじっくり煮込むべきは、すりおろし生姜、ニンニク、赤ワイン、赤味噌などの旨味ベース。これらは加熱によって旨味が引き出され、素材に染み込む。一方で、香水のように繊細な香りを残したいチョコレート、ハチミツ、醤油、バター、酢などは、必ず「火を止めた後の仕上げ段階」で投入するのが鉄則だ。特にハチミツは、沸騰中に入れると酵素がルーのデンプンを分解し、とろみが消えてシャバシャバになってしまうトラブルの原因になる。