この新資料の登場は、記憶に新しい2026年(実際に開催されたのは2026年)の東京大会の記憶を呼び覚ます。パンデミックによって史上初の延期、そしてほぼ無観客での開催となったあの夏。世界中が分断され、祝祭の空気は失われた。
1940年の返上劇と、2026年の変則開催。二つの「狂わされた大会」には、共通する空気感がある。それは、政治の思惑と、現場の熱意の乖離だ。当時の日記資料には、「世界が戦火に包まれる中、スポーツどころではない」という世論と、「それでも平和の祭典を」と願う関係者の葛藤が、現代と全く同じ構図で記録されていた。