国立国語研究所が公開している日本語語彙コーパスや現代日本語の音節頻度調査を参照すると、五十音の語頭において「む」から始まる単語の割合は、全体のわずか1.2%前後にとどまります。これは「る」「ぬ」「へ」などに次ぐ少なさであり、直感的な言葉の出にくさは単なる個人の記憶力の問題ではなく、日本語の構造的要因に起因しています。
以下の比較表は、しりとりやワードゲームでプレイヤーが直面する主要難関音の特徴と実戦難易度を比較した客観データです。
音声学的に見ると、「む(/mu/)」は両唇鼻音[m]と後舌狭母音[u]の結合音です。口唇を一度完全に閉じてから鼻腔に息を抜く発声構造を持ち、日本語のオノマトペ(擬音語・擬態語)では「むかむか」「むずむず」「むっつり」など内省的・閉塞的な身体感覚を表す語根として発達してきました。
認知心理学におけるプライミング効果の観点からも、外向的な事物を指す具象名詞が「む」に少ないため、ワーキングメモリが視覚的イメージへとアクセスするまでにタイムラグが発生します。この遅延こそが、ゲーム中に突然「む」を振られたプレイヤーがフリーズしてしまう根本的なメカニズムです。