長らく「廃人」と思われていたゼニスの真相が完全に判明したのは、物語がミリシオン編へと進んだ後のことです。ミリオン神聖国において、他人の心や記憶を読み取る能力を持つ本物の「記憶の神子」と対面したことで、ゼニスの内面世界が白日の下に晒されました。
ゼニスは魔力結晶の影響で、生まれつき特殊な力を宿す存在である「神子(みこ)」へと変質していたのです。彼女が得た力は、言葉を介さずに相手の感情や思念をダイレクトに読み取る精神感応(テレパシー)の能力でした。
神子を通じて明かされたゼニスの内面は、錯乱や絶望とは無縁の、極めて澄み切ったものでした。彼女はルーデウスたち家族のことをはっきりと認識しており、誰が自分を世話し、どれほど愛してくれているかをすべて理解していました。外見上はぼんやりとして見えても、彼女の心の中では豊かな思考と家族への深い愛情が生き続けていたのです。