山陰地方の豊かな妖怪文化や神話世界を語るうえで、水木しげるの存在を外すことはできない。鳥取県境港市で育ちつつも、隣接する島根の風土や隠岐の島に強いルーツを持つ彼の作品群には、目に見えない異界への畏怖と慈しみが満ちあふれている。
古くから怪異や神話が日常の中に溶け込んでいるこの地域では、目に見えるものだけが全てではないという価値観が根付いている。日常の裏側に潜む怪異を描き出した彼の世界観は、島根の静寂や鬱蒼とした森の空気感と深く共鳴しており、後世のクリエイターたちにも決定的なインパクトを与え続けている。