1970年代末期、ディスコカルチャーは商業的な頂点を迎えると同時に、激しいバックラッシュに晒されていた。その逆風の中で、稀代のプロデューサーであるジョルジオ・モロダーとピート・ベロッテ、そしてドナ・サマーが所属レーベルのカサブランカ・レコードと共に仕掛けた実験こそが、名盤『バッド・ガールズ』の冒頭を飾る「Hot Stuff」だった。
彼らが持ち込んだのは、シンセサイザーの規則的なパルスだけではない。ドゥービー・ブラザーズやスティーリー・ダンで名を馳せた名手ジェフ・バクスターによる、焼けつくようなギターソロだ。ストリングスとホーンが支配していたフロアに突如として鳴り響いた重厚なディストーション。この大胆なハイブリッドこそが、後に「ダンス・ロック」と呼ばれる潮流の決定的な原点となった。