安全保障理事会の常任理事国自身が当事国であるという構造的欠陥により、国際連合(国連)の平和維持機能は麻痺状態にある。度重なる安保理決議の拒否権行使は、戦後の国際秩序を支えてきた多国間主義の限界を印象づけた。国連総会での非難決議も実効性を欠き、国際社会の分断は深まるばかりだ。
日々の国際政治ニュースを賑わせるのは、米欧を中心とする西側陣営と、ロシアや中国、そして「グローバル・サウス」と呼ばれる中立的な新興国群との間で生じている地政学的な亀裂である。多くの新興国は、どちらの陣営にも与せず自国の経済的実利を優先する姿勢を強めており、世界は単一のルールではなく、複数の権力ブロックがせめぎ合う多極化時代へと完全に移行した。