朝ドラの多くが実在の人物の評伝をベースにするなか、『おむすび』の主人公・米田結には特定の単一モデルは存在しません。NHKの公式制作発表およびチーフプロデューサーの公式コメントによると、本作は脚本家・根本ノンジによる完全オリジナル作品です。
しかし、物語に圧倒的な説得力を与えているのは、実在の専門職従事者や被災地関係者への膨大なフィールドワークです。制作にあたり、制作統括チームと根本ノンジ氏は複数の現役管理栄養士、栄養教諭、病院栄養士、スポーツ栄養士への徹底的なヒアリングを実施しました。現場で語られた「誰かのために食事を作ることが、巡り巡って自分自身の生きる力になる」という生の声が、米田結という人物像の骨格を形成しています。
特に、1995年1月17日の阪神・淡路大震災直後に避難所で配られた手作りの「おむすび」が、極限状態にあった人々の心に灯した温もり――この実話に基づく数々の体験談こそが、本作のタイトルおよび主人公の職業的アイデンティティの原点となっています。