長谷川町子原作の漫画をもとに、フジテレビ系でアニメ『サザエさん』が放映を開始したのは1969年10月のことでした。制作を手掛けた株式会社エイケンにとっても、この作品は日本のTVアニメ史に輝く金字塔です。貴家堂子さんは、その第1回放送から半世紀以上、一度も変わることなくタラちゃんの声を担当し続けました。東京俳優生活協同組合に所属し、長年にわたって第一線で活躍し続けたキャリアは、まさに驚異的と言わざるを得ません。
「デス・マス」という愛くるしい語尾、三輪車を漕ぐときの軽快な擬音。彼女が吹き込んだ命は、画面の向こうにいる子どもたちや親たちにとって、家族の誰よりも親しい存在でした。マイクの前に立つ彼女の姿は常に凛としており、小さな子ども役を演じるための発声やニュアンスへのこだわりは晩年まで衰えることがありませんでした。