神奈川県横須賀市出身の天達武史は、高校時代は野球に打ち込むスポーツ青年でした。高校卒業後は進学せず、地元・三浦海岸近くのファミリーレストラン「デニーズ」で厨房スタッフとして働き始めます。このアルバイトから始まった約9年間の厨房勤務こそが、彼の人生を決定づける転換点となりました。
海沿いの店舗だったため、晴天の週末には観光客が殺到して食材が不足し、逆に急な雨が降ると用意した食材が大量に廃棄処分になるという現実に直面します。「明日の天気が正確に分かれば、食材の無駄をなくし、適切なシフトが組めるのではないか」――その実体験に基づく強い問題意識が、気象予報士を目指すきっかけでした。
合格率わずか5%前後という国家資格の壁は厚く、独学での受験は連敗を重ねました。それでも諦めることなく、毎日のシフト終了後に深夜まで机に向かい続け、7回目の受験(2002年10月)で見事に合格を果たしました。エリート理系出身者が多い気象業界において、調理場出身という現場叩き上げの経歴は極めて異色であり、彼の解説が常に「庶民感覚」に寄り添っている根源となっています。