麻生氏の台湾訪問は、日本の現職自民党副総裁としては1972年の日中国交正常化以降で初めてとなる異例の外交行動でした。訪問の経緯を振り返ると、蔡英文総統(当時)や頼清徳氏ら台湾指導部とのパイプを強固にし、台頭する中国の軍事的威嚇に対抗する構図を鮮明にする狙いがありました。
麻生氏は講演の中で、1982年のフォークランド紛争を例に挙げました。イギリスが防衛の明確な意思を示さなかったことがアルゼンチンの侵攻を招いたという教訓を引き合いに出し、抑止力には「能力」「意思(使う覚悟)」「それを相手に認知させること」の3要素が不可欠であると強調したのです。
つまり、あえて刺激的な言葉を選ぶことで、中国側に「日本は傍観しない」というシグナルを送り、台湾海峡における軍事冒険主義を未然に防ごうとしたのが麻生氏の計算でした。