庄内地方のラーメンを語る上で欠かせないのが、山形鶴岡あごだしラーメン特徴である「焼きあご」の存在です。江戸時代から明治にかけて日本海を行き交った北前船の交易拠点であった庄内浜には、高級乾物やだしの食文化が深く根付いていました。
あご(トビウオ)は、海面を飛翔するために脂肪分が極めて少なく、乾燥・焙煎させることで雑味のない澄んだ旨味と上品な甘み、そして独特の香ばしさを生み出します。煮干しのような強い酸味やエグ味が出にくく、上品でありながら奥底に骨太なコクを秘めている点が、他の魚介系ラーメンとは根本的に異なります。
この出汁に合わせられるのが、水分率40%を超える「自家製超多加水麺」です。麺生地を徹底的に寝かせ、熟練の手作業で力強く揉み込むことで、麺の表面に無数のランダムな縮れと窪みが生まれます。この凹凸が上品なあごだしスープを過不足なく持ち上げ、啜るたびに口内いっぱいに魚介の香りを拡散させます。鶴岡市ラーメン地元民の口コミを検証すると、「あっさりしているのに物足りなさが一切ない」「週に3回食べても胃もたれせず、無性にまた食べたくなる」という声が圧倒的多数を占めており、これこそが鶴岡市ラーメン中毒性の理由と言えます。