世界の国旗や紋章を学術的に探求する「旗章学(ベキシロロジー)」の専門家たちも、日本の日章旗に対して独特の評価を下している。複雑な紋章や多色遣いが主流の欧州ヘラルドリー(紋章学)とは対照的に、極限まで無駄を削ぎ落とした「白地に赤」という二色構成は、国際的にも類を見ない簡潔さと識別性を誇る。
しかし、そのシンプルさゆえに、赤色の選定には並々ならぬこだわりが注がれてきた。古来、太陽の光芒を表す色としては朱色や深紅、紅(くれない)など複数の伝統色が用いられてきたが、印刷技術や繊維染色の近代化に伴い、国際基準のカラーコードへの適応が進められた。簡素でありながら圧倒的な視認性を持つこの構図は、古代からの太陽信仰と近代的な幾何学設計が奇跡的に融合した産物なのだ。