過密化と高層化が進んだ現代の都市において、「市中の山居」の精神は建築家たちによってダイナミックに再解釈されています。現代建築における「市中の山居」は、伝統的な和風建築の模倣にとどまりません。
現代の建築手法では、外に対しては閉ざし、内に対して開く「コートハウス(中庭型住宅)」や「坪庭(つぼにわ)」の導入がその代表例です。コンクリートの外壁によって街の騒音や視線を遮断しつつ、建物の中央に設けた中庭から風、雨、日光を直接取り込みます。
アプローチの現代的再構築
現代の住宅設計において、玄関までの長い廊下やクランク(曲がりくねった)した動線は、かつての露地の役割を果たしています。外部の道路から室内へ至る間に視線や光のトーンを落とすことで、住む人の自律神経を交感神経優位から副交感神経優位へとスムーズに切り替えます。
借景と素材の選定
隈研吾氏をはじめとする現代日本の建築家たちは、木材、竹、土壁、和紙といった自然素材を最新の構造技術と組み合わせることで、「都市の中の森」を構築しています。ハイテクな断熱・遮音性能によって都市の喧騒を完璧に物理遮断した上で、室内に水音や植物の影を取り込む設計が定着しています。