試合直後から、全国のファンやメディアの間で激しい議論が巻き起こった。試合を生中継していたNHKの放送席でも、アナウンサーや解説者が言葉を選びつつも戸惑いを隠せない様子がそのまま全国のお茶の間に流れた。勝つための正当なルール行使であると主張する戦術派がいる一方で、「高校野球は教育の一環であり、全力で正面から勝負すべきだ」とする教育的指導観からの強い批判が噴出した。
特に印象的だったのは、一度もバットを振らせてもらえなかった松井本人の振る舞いだった。怒りや落胆を表に出すことなく、ただ静かにバットを置き、一塁へと走るその紳士的な態度は、多くの野球ファンを感銘させた。この試合を機に、日本野球界における故意四球(敬遠)の是非や、勝負の美学に対する価値観は大きな転換点を迎えることとなった。