認知機能の測定というと、病院の脳神経内科や物忘れ外来で行われる「改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)」や「MMSE(ミニメンタルステート検査)」を思い浮かべる方も多いはずです。免許更新の検査と医療機関の検査では、絵や物の覚え方にどのような違いがあるのでしょうか。
長谷川式スケールにおける記憶テストは、イラストではなく実物を使用する「物品再生」と呼ばれる課題です。医師や検査技師が目の前に「鍵」「ペン」「硬貨」「時計」「眼鏡」など日常的な5種類の小物を並べて見せ、受検者に名前を確認させた後、それらを隠して「何がありましたか?」と尋ねます。
免許更新の認知機能検査が「事前に決められたイラスト群からスクリーニングを行う」という形式であるのに対し、医療現場の長谷川式やMMSEは、即時記憶・遅延再生だけでなく、計算力(100から7を引く)、言葉の流暢性(野菜の名前をできるだけ多く言う)、図形模写など、多角的に脳の認知機能を診察します。免許更新のテストで点数が振るわなかったとしても、直ちに医学的な「認知症」と診断されるわけではなく、病院での精密な総合診断によって最終的な医学的評価が下されます。