裏切られた被害者が陥りやすい最大の罠が、「自分に魅力がなかったからだ」「家庭を蔑ろにしていた自分が悪い」という激しい自責の念だ。これに対し、社会心理学や犯罪心理学の知見で知られる心理学者の越智啓太氏は、被害者が加害要因を自己に求めてしまう心理的防衛機制について言及している。
「世界は公正であり、悪いことが起きるのは自分に落ち度があるからだ」と無意識に思い込もうとする認知の偏りが、かえって自己肯定感を粉々に破壊する。本来責められるべきは裏切った側であるにもかかわらず、裏切られた側が重い罪悪感を背負い込む構造こそが、鬱症状を長期化・重症化させる元凶となっている。