「男性脳」「女性脳」というステレオタイプな区別に科学的な光を当てたのが、ケンブリッジ大学発達精神病理学研究センターの教授であるサイモン・バロン=コーエンだ。彼は従来の単なる性別論争から一歩を踏み出し、脳の認知特性を数値化するメカニズムを提示した。
彼が提唱した「SQ-EQ理論(システム化・共感化指数テスト)」は、世界観をシステムとして理解しようとする力(SQ)と、他者の感情を直感的に察知する力(EQ)の度合いで人間の思考を分類する試みである。日本語訳された著書『共感する女 構造化する男』は、生物学的な性別と脳の特性が必ずしも一対一で対応しないことを一般に広く認知させた。男だから客観的、女だから感情的という単純な二元論を破綻させた点において、彼の功績は極めて大きい。