絶頂期を駆け抜けたザ・ピーナッツは、1975年に惜しまれつつも芸能界を完全引退する。その直後、音楽業界のみならず日本中を激震させたのが、伊藤エミと沢田研二の結婚だった。当時、「ジュリー」の愛称でスーパースターとして君臨していた沢田と、デュオを解散したばかりのエミ。二人の恋は、まさに時代のトップスター同士による運命的な交差だった。
結婚生活の中で一児を授かったものの、二人の道は後に別の歩みへと分かれていく。しかし離婚後も、伊藤エミがメディアの前で過去や私生活について多くを語ることは一切なかった。スポットライトの当たる華やかな世界から完全に身を引き、静かに、そして気高く自らの人生を全うしたその姿勢には、一人の表現者としての深い矜持と誠実さが溢れていた。