夕暮れの河原で交わされる千昭と真琴の別れは、日本アニメ史に残る屈折した美しさを持つ名シーンです。去り際に千昭が真琴を抱き寄せ、耳元で囁く「未来で待ってる」という名言。そして、それに対する真琴の「うん、すぐ行く。走って行く」という返答には、単なる恋愛感情を超えた深遠なテーマが込められています。
千昭が暮らす未来は、真琴たちの時代から数十年後どころか、数百年単位で隔たった遥か未来であることが作中の描写から伺えます。生物学的に同時代で再会することは不可能です。ではなぜ、千昭は「待ってる」と言い、真琴は「すぐ行く」と応えたのでしょうか。
このラストシーンが示す本質は、「千昭の時代まで受け継がれるべき価値を、真琴が現在から未来へと届ける」という約束にあります。千昭が生きる荒廃した未来世界には存在しない青空や川の流れ、そして後述する「絵画」を千昭の時代まで守り抜き、残すこと。真琴が「走って行く」と宣言したのは、立ち止まらずに今を全力で生き抜き、未来へバトンを繋ぐ強い決意の表れです。