事案が発生したのは、ある平日の午後3時過ぎだった。学校近くの里山で自然観察を行っていたグループから、男児の姿が見えなくなったと通報が入る。京都の秋から冬にかけての山間部は、日没とともに気温が急激に低下する。視界が遮られる深い木々の中で、警察犬や熱感知カメラを搭載したヘリコプターが投入されたが、夜間の捜索は難航を極めた。
家族や学校関係者が祈るような思いで見守る中、捜索隊は一歩一歩、男児が迷い込んだと思われるルートを絞り込んでいった。手がかりは、男児が持っていた水筒と、地面に残された小さな足跡だけだった。