この作品が大人をも魅了し続ける最大の理由は、癖が強すぎる悪役(ヴィラン)たちの存在感にある。筆頭は、巨大化した脳みそをヘルメットで覆ったチンパンジーの天才科学者、モジョ・ジョジョだ。元々はユートニウム博士のペットであり、ガールズ誕生の爆発の余波でIQが飛躍的に高まったという皮肉な出生の秘密を持つ。彼の回りくどい独特の演説口調と、どこか憎めないマヌケな失敗劇は、今やSNSのミームとして世界中で愛され続けている。
さらに異彩を放つのが、赤い肌に悪魔のような爪、エナメルのニーハイブーツを履いた謎の存在「ヒム(HIM)」だ。裏声で囁いたかと思えば突如として重低音で咆哮する怪演、そして精神をジワジワと追い詰める狡猾な戦術。ジェンダーの枠組みを嘲笑うかのようなそのデザインと立ち振る舞いは、90年代当時としてはあまりにも先鋭的であり、現在のクィアカルチャーやジェンダーレスファッションの視点からも高い批評的評価を獲得している。
忘れてはならないのが、金と権力ですべてを解決しようとする我ままな金持ち娘、プリンセス・モアバックだ。超能力を持たない彼女が、金に物を言わせたハイテク兵器でガールズの仲間入りを迫る姿は、承認欲求に狂う現代社会の病理を予見していたかのようでもある。ただの「勧善懲悪」に終わらない、個性が尖り切ったヴィランたちとの攻防があるからこそ、ストーリーの熱量は冷めることがない。