発端となったのは、2019年12月10日に放映された『ガイアの夜明け』の特集「残業を減らせ!~見直される“働き方”~」でした。当時の大戸屋は、深刻な人手不足と長時間労働の是正を目指し、全社を挙げて「月45時間以内の残業徹底」という数値目標を掲げていました。
番組が密着したのは、人通りの多い商業施設に新規オープンした店舗を預かる新任店長と、経営トップである窪田健一社長(当時)の動きでした。店長は不慣れなオペレーションやスタッフ育成、仕込み作業に追われ、オープン直後から残業時間が上限ギリギリまで達してしまう厳しい局面に立たされていました。
そうした過酷な現場に対し、カメラの前で繰り広げられたのは、業務改善の具体的な支援ではなく、経営陣による精神論に近いプレッシャーの数々でした。「なぜ残業時間を抑えられないのか」「本気でやっていない」と詰め寄る幹部の姿が克明に記録され、本来の「働き方改革への挑戦」という趣旨とは正反対の光景が全国のお茶の間に届けられることとなったのです。