日々のケアで便通を促すためには、身体の外側から物理的に腸を刺激するアプローチが有効です。即効性を期待できる具体的な介助・セルフケアの方法を整理します。
代表的な手法が「の」の字マッサージです。仰向けになり両膝を軽く立てた状態で、おへそを中心にして時計回りに「の」の字を描くように、手のひらで優しく圧をかけながら撫でていきます。大腸の走行(右下腹部から右上、左上、左下腹部へ)に沿って刺激を与えることで、滞留した便やガスの移動を促します。食後30分から1時間ほど経過したリラックス時に、ホットパック等で腹部を温めながら行うとより効果的です。
排便時の姿勢も極めて重要な要素です。洋式便座に座る際、上半身をやや前傾させ、足元に踏み台などを置いて膝の位置を腰より高くする「前傾姿勢(考える人のポーズ)」をとると、直腸と肛門が一直線になり、無理な力みをかけずに排便しやすくなります。
なお、直腸に硬い便が蓋のように詰まって自力排出できない場合、指で便を掻き出す「摘便(てきべん)」が行われることがあります。しかし、家庭内での安易な摘便は極めて危険です。直腸粘膜を傷つけて大出血を起こしたり、迷走神経反射によって血圧低下や意識障害、徐脈を引き起こすリスクがあります。摘便は原則として医師や訪問看護師などの医療従事者に依頼し、自己判断で行わないよう注意してください。