鞍馬山を語る上で欠かせないのが、悲劇の英雄・源義経(牛若丸)の伝説だ。平治の乱で敗れた源氏の遺児として鞍馬寺に預けられた牛若丸は、昼は仏道修行に励み、夜になると僧正ヶ谷で鞍馬天狗(僧正坊)から兵法や剣術の手ほどきを受けたと伝えられる。
この劇的な師弟関係と修業譚は、室町時代に能『鞍馬天狗』として舞台芸術に昇華され、近現代に至るまで数多くの文芸作品を生み出してきた。大河ドラマ『義経』(NHK)で描かれた跳躍感あふれる若き日の姿は日本人の記憶に深く刻まれているが、近年ではNetflixなどのグローバル配信プラットフォームを通じて時代劇やアニメが世界中へ普及。海外のファンが「サムライと天狗の修行地」を一目見ようと、この険しい山道を訪れる契機となっている。