日本が誇る伝統工芸品である愛知県の常滑焼や、三重県の四日市萬古焼で作られた焼き物の急須は、職人が注ぎ口のキレを極限まで追求して手作業で仕上げている。朱泥や紫泥といった素材特有の多孔質構造が、茶のおいしさを引き立てる重要な要素となっている。
優れた茶道具としての急須は、そもそもプラスチックやゴムの力を借りずとも、職人の高度な技術によって「お湯が綺麗に切れ、垂れにくい」注ぎ口が設計されている。輸送用の保護カバーをつけっぱなしにすることは、職人が試行錯誤を重ねて生み出した繊細な注ぎ口の機能を損なうばかりか、土ものの肌触りや風合いをも覆い隠してしまう行為と言える。