こうした潮流は、フジテレビなどの民放キー局にとどまらず、公共放送である日本放送協会(NHK)の番組づくりにも顕著に現れている。NHKではドキュメンタリー番組で培った緻密なリサーチ力をドラマ制作に還元し、発達障害当事者の日常や就労問題をフラットな視点で描写する作品を意欲的に発表してきた。
かつてエンタメの最前線では「難しいテーマ」として敬遠されがちだった題材が、いまや人間味溢れる上質なドラマを生み出す宝庫となっている。当事者が抱える独特のユーモアやこだわり、人間関係の不器用さを愛おしく描くアプローチは、多様性理解を掲げる時代のニーズと完全に合致した。視聴者もまた、記号化されたキャラクターではなく、生身の葛藤を生きる主人公たちの魅力に引き込まれている。