「蚊は冬になると全滅する」という認識は正確ではない。ヒトスジシマカのように卵で越冬する種が存在する一方で、アカイエカは交尾を済ませたメスの成虫がそのまま冬を越す。
秋が深まり日照時間が短くなると、アカイエカのメスは「休眠(ダイアポーズ)」と呼ばれる生理状態に入る。この状態の蚊は吸血行動を停止し、体内に蓄えた脂肪を消費しながら、温度変化の少ない暗く湿った場所でじっと春を待つ。床下、押し入れの隙間、洞窟、下水道といった空間に身を潜めた個体は、冬の寒さを耐え抜き、5カ月から半年以上も生き続ける。春の訪れとともに目覚めたメスが最初の吸血を行い、新たな世代の繁殖をスタートさせるのだ。