ネット上で「児童養護施設はひどい場所だ」と語られる際、その多くは「施設内での暴力やいじめ」「職員による理不尽なルールや指導」「プライベートが一切ない集団生活」といったエピソードに起因しています。SNSやQ&Aサイトに寄せられる児童養護施設のネットの反応を精査すると、昭和から平成初期にかけて施設で育った退所者の苦痛に満ちた手記と、近年の改善された環境との間に大きな情報の断絶があることが分かります。
かつての児童養護施設は、1つの建物で数十人の子どもが寝食を共にする「大舎制」が主流でした。そこでは上級生が下級生を支配する上下関係の固定化や、個別のトラウマケアが行き届かないことによる児童養護施設内のいじめが構造的に発生しやすい環境にありました。「私物が勝手に使われる」「職員に助けを求めても『子ども同士で解決しろ』と突き放された」という当時の特番インタビューや手記で語られた告白は、今なお人々の記憶に強く刻まれています。
しかし、近年の実情は大きく変化しています。こども家庭庁が主導する小規模ユニット化(一般家庭に近い6人〜8人程度の少人数単位での生活)への移行が進み、プライバシーの保護や個別ケアの質は劇的に改善されつつあります。それにもかかわらず悪評が消えないのは、過去のトラウマを抱えた退所者の痛切な叫びがネット上に残り続けていること、そして一部の施設において今なお旧態依然とした指導方針や人手不足による歪みが残存しているためです。