『硝子の少年』が単なるアイドルソングにとどまらず、音楽専門家やミュージシャンから絶賛される理由は、その完璧なサウンドエンジニアリングとコード進行にあります。
曲の基調は哀愁漂うDm(ニ短調)を主軸としており、AメロからBメロにかけて「Dm - Gm7 - C7 - Fmaj7 - B♭ - Em7(♭5) - A7」という、いわゆるツー・ファイブ進行を巧みに織り込んだ王道の歌謡マイナーコードが展開されます。このコード進行は日本人の琴線にダイレクトに触れる「切なさ」を呼び起こします。
さらに注目すべきはリズムセクションとアレンジの重厚さです。ドラムスには長年達郎サウンドの屋台骨を支えた青山純、ベースには伊藤広規、パーカッションに浜口茂外也といった日本屈指のリズム隊が参加。生演奏ならではのタイトかつグルーヴィな16ビートの推進力が、憂いを帯びたメロディに躍動感を与えています。
山下達郎自身のトレードマークである多重録音コーラスもバックトラックにふんだんに散りばめられており、イントロの印象的なアコースティックギターのカッティングからストリングスの流麗なフレーズに至るまで、職人技の粋が凝縮されています。