強烈なナルシシズムと美食への執着で異彩を放つ月山習。連載初期の「トレビアン!」「フォルティッシモ!」といったエキセントリックな迷言は、読者の間でカルト的な人気を博しました。
しかし物語が進むにつれ、彼の言葉は道化の仮面を脱ぎ捨て、真実の愛へと昇華していきます。『東京喰種:re』において、記憶を失い佐々木琲世として生きるカネキを想い、身を挺して放った「カネキくんがいなくなるのは、僕はいやだ!」という剥き出しの懇願は、初期の美食家気取りを完全に超えた純粋な絆の証明でした。
『東京喰種:re』では、佐々木琲世の「僕を消さないで」という自己同一性の悲鳴から、最終章での「世界は間違っていない。ただそこにあるだけだ」という境地に至るまで、絶望を受容した先にある再生のメッセージが数多く散りばめられています。