橋幸夫の輝かしい経歴の中で、最高峰のマイルストーンとして燦然と輝くのが、1962年に日活の看板女優・吉永小百合とデュエットした「いつでも夢を」です。
作詞・佐伯孝夫、作曲・吉田正によるこの楽曲は、発売からわずか数か月で300万枚を超える空前の大ヒットを記録し、第4回日本レコード大賞を受賞しました。当時の日本は東京オリンピック(1964年)を控え、急速な工業化と都市化が進む一方で、地方から集団就職で上京した若者たちが懸命に汗を流していた時代です。「いつでも夢を」の明るく希望に満ちたメロディと歌詞は、格差や孤独に直面していた当時の若者層のアンセムとなりました。
制作の舞台裏として有名なエピソードが、多忙を極めていた二人のスケジュール調整です。実はレコーディング当日、二人は別々に録音を行い、後から音源をミックスして完成させました。顔を合わせずして生まれた奇跡のハーモニーは、両者の卓越したリズム感とプロフェッショナリズムの賜物であり、現代のデュエットソング制作の先駆例とも言えます。