高橋尚子さんが居を構えるのは、千葉県北部に位置する佐倉市内の閑静な住宅街です。都心から電車で1時間ほどの距離にありながら、豊かな自然と静けさを残すこの地は、高橋さんにとって単なる生活拠点以上の意味を持っています。敷地面積は一般的な戸建て住宅の数倍に及び、頑強な鉄筋コンクリート造のモダンな佇まいが街並みの中でもひときわ存在感を放っています。
建築当時の報道や関係者の証言によると、建物の総工費は推定1億円から2億円規模とされ、内部の間取りはアスリートのリカバリーとトレーニングを最優先に設計されています。広々とした吹き抜けのリビングや充実したキッチンスペースに加え、最大の特徴となっているのが自宅内に設置された本格的な「低酸素ルーム」です。
低酸素ルームとは、室内の酸素濃度を標高3,000メートル前後の高地と同等の環境にコントロールできる特殊な設備です。現役時代、高橋さんはアメリカ・ボルダーなどの高地トレーニングで肉体を極限まで追い込んでいましたが、帰国後も自宅で同様の負荷を維持するためにこの装置を導入しました。設置費用だけで1,000万円以上が投じられたと報じられており、まさに世界の頂点を極めたランナーならではの規格外なこだわりといえます。
引退後の現在、この低酸素ルームは現役時代のような過酷な追い込みのためではなく、体調管理やコンディショニング、時には知人のアスリートへのトレーニング環境提供などに柔軟に活用されています。機能性とプライベートの安らぎが完璧に融合した空間として機能しています。