現在の柔らかなバイプレイヤーとしての印象が強い堀内敬子ですが、そのキャリアの原点は国内最高峰の演劇集団である劇団四季にあります。関東国際高校演劇科を卒業後、1989年に劇団四季研究所へ入所。当時の倍率は数十倍とも言われた難関を突破した彼女は、瞬く間に頭角を現しました。
特筆すべきは、日本初演となったディズニーミュージカル『美女と野獣』のヒロイン・ベル役(初代)に抜擢された事実です。劇団関係者の回想録や当時の劇評によれば、浅利慶慶氏をはじめとする首脳陣を唸らせたのは、類まれなクリスタルボイスと、舞台の隅々まで届く圧倒的な表現力でした。華奢な体躯でありながら、難曲を完璧に歌いこなす高い歌唱技術は、劇団四季の歴史においても語り草となっています。
さらに『キャッツ』のシラバブ役やジェリーロラム=グリドルボーン役、『ウエストサイド物語』のマリア役、『エビータ』のミストレス役など、劇団四季を代表する看板作品の重要ポストを次々と歴任。当時のパンフレットや舞台写真に残る20代の堀内敬子は、まさに息を呑むような可憐さと気品を湛えており、往年のミュージカルファンにとっては「伝説のミューズ」として記憶されています。