世界的な観光地となった東山エリアで、静けさと絶景を同時に味わうには明確な戦略が必要になる。混雑のピークは午前10時から午後4時にかけて。この時間帯は石段が人で埋め尽くされ、落ち着いて写真を撮ることすら難しい。
狙い目は、夜明け直後の午前6時30分から7時30分までの時間帯だ。東の空が白み始め、朝もやのなかに法観寺(八坂の塔)の五重塔が凛とそびえ立つ姿は圧巻の一言。産寧坂の石段を下りきり、二年坂へと折れる手前の緩やかな傾斜から見上げるアングルは、古都の奥行きを完璧に捉えることができる。
もう一つの特別な瞬間は、日没直後のブルーアワーだ。町家の行灯に明かりが灯り、石畳が茜色から深い藍色へと染まっていく。清水寺の拝観を終えた人々が引き揚げ始めるこの時間、裏道となる茶わん坂側の側道を経由して坂上へアプローチすると、人混みを巧みに回避しながら、息をのむような夕景のグラデーションに出会える。