事態を重く見た警察当局は、迅速な陣形構築に動いた。管轄である伊万里警察署に特別捜査本部が設置されると同時に、広域的な知見を結集すべく「伊万里市事件合同捜査プロジェクト」が立ち上げられた。地域警察のきめ細やかな地道捜査と、本部の持つ高度な科学捜査力を融合させた強固なスクラム体制である。
初動における鑑識活動は熾烈を極めた。雨風による証拠の散逸を防ぐため、現場全体を覆う大型テントが設営され、特殊光源を用いたルミノール反応の確認やDNA型鑑定用サンプルの抽出がミリ単位で行われた。鑑識員たちは指紋一つ、繊維くず一本すら見逃さない執念で床面を這い、証拠品を次々とナンバリングしていった。
夜を徹して行われた防犯カメラ映像の「リレー捜査」も威力を発揮した。現場周辺のみならず、主要幹線道路や山間部へと通じるルートに設置された民間・公共のカメラ数十台分のデータを回収。膨大な映像をコマ送りで精査する過酷な作業から、不審な車両のナンバーと逃走の方角が絞り込まれていった。