通常、インフルエンザウイルスが体内に侵入すると、免疫システムがウイルスを排除しようと激しく攻撃を仕掛ける過程で「発熱物質(サイトカイン)」が大量に放出され、高熱が生じます。しかし、特定の条件下ではこの免疫反応がマイルドになり、高熱を伴わない「隠れインフルエンザ」の状態に陥ります。
まず代表的なインフルエンザで熱が出ない理由として挙げられるのが、ワクチン接種後のインフルエンザ感染で発熱なしとなるケースです。予防接種によってあらかじめ体内に抗体が作られていると、ウイルスが侵入しても急激な増殖を抑え込めるため、37度台前半の微熱や平熱のまま倦怠感や喉の痛みだけで推移することがあります。
ウイルスの種類による違いも見逃せません。特にインフルエンザB型で熱が出ない、あるいは微熱程度にとどまる現象は広く知られています。A型が急激な高熱と強い全身症状を引き起こしやすいのに対し、B型は微熱や平熱のまま腹痛・下痢・嘔吐といった消化器症状や上気道炎がだらだらと続く傾向があります。
さらに、高齢者のインフルエンザで熱が出ない背景には、加齢に伴う免疫機能の応答低下があります。ウイルスに対して体が十分に炎症反応を起こせないため体温が上がりにくく、熱がないのに「急に元気がなくなった」「食事を受け付けない」といった異変から発覚することも珍しくありません。また、日常的に解熱鎮痛薬やステロイド薬を服用している場合も発熱反応が覆い隠されます。