岩手南部の平泉エリアは、平安時代末期に奥州藤原氏が築き上げた仏国土(浄土)の思想が今なお色濃く残る特別な場所です。その象徴である中尊寺金色堂は、堂全体が金箔で覆われ、螺鈿や象牙の装飾が施された平安仏教美術の最高峰。覆堂の中に静かに佇むその輝きは、訪れる者を一瞬で千年前の世界へと引き込みます。
平泉から少し足を延ばした一関エリアで体験したいのが、対照的な魅力を持つ2つの渓谷美です。荒々しい岩肌とエメラルドグリーンの急流が織りなす「厳美渓」では、名物の「空飛ぶだんご(郭公だんご)」を堪能。籠にお金を入れて合図を鳴らすと、対岸の店舗からワイヤーロープを伝って団子とお茶が滑り降りてくるユニークな体験が旅の気分を盛り上げます。
一方、高さ100メートルを超える断崖絶壁が続く「猊鼻渓」では、船頭が竿一本で巧みに操る厳美渓・猊鼻渓舟下りの静寂な船旅が格別です。船頭が歌い上げる「げいび追分」が渓谷に美しく反響する中、川辺の鴨と戯れながら進む往復約90分の時間は、日常のストレスを完全に忘れさせてくれます。