時計の針が深夜を回っても、ビルのどこかで人の気配が途切れることはない。屋上へ続く階段の踊り場では、グラフィックデザイナーと建築家が何やら図面を広げながら議論を交わし、階下のバーからは乾杯の笑い声が響く。深夜営業が厳しく制限され、管理された歓楽街が増えた2026年の夜において、ここは数少ない「息ができる場所」として機能している。
効率と安全を極限まで追求した都市の隙間に、ぽっかりと空いたブラックホールのような雑居ビル。そこへ吸い寄せられる人々が紡ぎ出すのは、ノスタルジーではなく、まぎれもなく未来のカルチャーの輪郭だ。時代遅れの箱が放つ鈍い光は、均質化していく街の夜を、今宵も静かに、だが確実に塗り替えている。 (出典: ラ パピヨン ビル(Yahoo!ニュース))
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