漬け上がった水ナスを食べる際、絶対に避けるべきなのが「包丁で輪切りや角切りにする」ことです。水ナスの魅力は、噛んだ瞬間に口いっぱいに広がる芳醇な果汁と、スポンジのようにきめ細やかな果肉のテクスチャーにあります。
金属の刃物で繊維を断ち切ってしまうと、断面の細胞が押し潰されて大切な水分がまな板の上へと逃げ出してしまいます。さらに、微量な金属臭が移ることで繊細な甘みを損なう原因にもなりかねません。下処理で入れておいたヘタの十字の切れ目から指を入れ、縦方向に裂くようにして4〜6等分に割るのが本場・泉州に伝わる伝統の作法です。
手で裂いた断面は凹凸ができ、表面積が広がるため、ぬかの風味を適度に残しながら舌触りが格段に滑らかになります。そのまま何もつけずに食べるのはもちろん、お好みで生姜醤油をほんの少し垂らすと、果肉の甘みが一層際立ちます。