高熱が出ない場合、どのような自覚症状からインフルエンザを疑うべきなのでしょうか。臨床現場で医師が注視しているのは、体温計の数値よりも「全身症状の突発性」です。
典型的な風邪は、喉の痛みや鼻水など局所の上気道症状から始まり、数日かけて徐々に症状が移行します。これに対し、隠れインフルエンザの特徴は、平熱であるにもかかわらず「朝起きた瞬間に鉛のように体が重い」「階段を登るだけで異様な筋肉の張りを感じる」といった全身性の異変が唐突に現れる点にあります。
とりわけ注意が必要なのが、インフルエンザA型熱なし関節痛のパターンです。A型は毒性が強くウイルスの増殖スピードが速いため、体温が平熱〜37度前半であっても、激しい腰痛、背中の強張り、節々のズキズキとした痛みが先行することが多々あります。これらは体内で分泌されるプロスタグランジンなどの炎症性物質が引き起こすサインです。
一般的なインフルエンザ初期症状と潜伏期間を整理すると、潜伏期間は通常1〜3日(最大4日)程度です。接触から数日後に以下のような症状が揃った場合、発熱がなくてもインフルエンザを強く疑う必要があります。
- 体温の不自然な推移:平熱(36度台)から37.2度程度の微熱を行き来し、上がらない。
- 骨・関節・筋肉の深部痛:首の後ろ、腰、ふくらはぎなどに強い疲労感や鈍痛が走る。
- 全身倦怠感:睡眠を十分にとっても回復しない、立っているのが辛いほどの脱力感。
- 後から追いつく呼吸器症状:発症から半日〜1日遅れて乾いた咳や喉の奥のイガイガ感が出現する。