かつて高級洗面台の代名詞だった電熱ヒーター内蔵ミラー。裏面に配したヒーターでガラス自体を温め、飽和水蒸気量をコントロールして結露を防ぐ仕組みだ。確実性は高い。だが、スイッチを入れてから鏡面が温まるまでには3分から5分のタイムラグが生じる。その数分を、現代の多忙な生活者は待てない。
追い打ちをかけたのが省エネ意識の徹底だ。消し忘れによる無駄な電力消費に対する生活者の目は、数年前とは比較にならないほど厳しい。「電気を使って無理やり乾かす」という力技のアプローチは、環境負荷を嫌うZ世代やミレニアル世代の施主から真っ先に敬遠される対象となった。結果として、電力を使わずに物理化学的なアプローチで水滴を消し去る技術に白羽の矢が立ったのは必然だった。