従来の緑化事業は、美観の維持や環境アピールといった象徴的な役割にとどまるケースが多かった。しかし現在進行形の潮流は、建物の構造部材と生きた植生を完全に一体化させ、雨水循環と気温調整を自律的に行うシステムへと進化している。
特筆すべきは、日本古来の里山構造を垂直方向に再構築した立体配植技術だ。低層部には湿潤を好むシダ類や低木を配し、中高層部には強風や乾燥に耐えるヤマザクラやコナラ、ケヤキを巧みに配置する。これにより、建物のファサード自体が一つの独立した山林のような生態ピラミッドを形成している。
現場を指揮するランドスケープデザイナーは、「人工物の中に自然を押し込めるのではなく、樹木が自発的に根を張り巡らせるための土台を建築側が提供している」と語る。都市の隙間に生まれたこの小さな原生林は、都市気候の緩和に目に見える成果を上げ始めている。