柳井の白壁の町並みを歩くと、ほのかに甘く香ばしい香りが漂ってくる。名物「甘露醤油」の醸造蔵から漂う香りだ。一度造った醤油に再び麹を入れて仕込む「再仕込み」という手法で造られるこの醤油は、濃厚な旨味と美しい深紅の色合いが特徴で、かつて藩主への献上品とされた歴史を持つ。
この歴史ある建築群がいま、劇的な進化を遂げている。江戸時代から続く建造物の外観や梁の太さを完璧に残しながら、内部を最新設備を備えたブティックホテルやシェアオフィス、マイクロブルワリーへと改修するプロジェクトが相次いで結実した。
歴史の重厚感を残した空間で高速Wi-Fiに接続し、現代的な仕事に没頭する。窓の外には白壁の路地と静かな空。この対比が受けて、国内外のデジタルノマドや長期滞在型の旅行者が引きも切らない。「静寂と快適さの同居」こそが、柳井が提供する最大のラグジュアリーなのだ。