小松左京を語る上で欠かせないのが、同時代を駆け抜けた戦友たちの存在である。ショートショートの神様と呼ばれた星新一、そしてアヴァンギャルドなブラックユーモアで読者を挑発し続けた筒井康隆。この個性際立つ作家たちとともに、小松は草創期だった日本のSF界を牽引した。
1963年に設立された日本SF作家クラブにおいて、小松左京は持ち前の豪放磊落な性格と強力なリーダーシップでまとめ役を担った。彼らは互いの才能を認め合い、激しい火花を散らしながら、翻訳文化の模倣にとどまっていた国内の文壇に「日本独自のSF小説」という巨大な山脈を築き上げた。
文学界からの偏見や批評家の冷ややかな視線を跳ね返し、出版業界において一大ジャンルへと押し上げた背景には、3人が見せた圧倒的な筆力と知的好奇心の共鳴があった。知性を寓話化する星、制度を破壊する筒井、そして文明を巨視的に構築する小松。この三者三様のベクトルが、日本のカルチャーシーンを豊穣なものへと変貌させたのだ。