松山ケンイチの取り組みは、趣味の家庭菜園の域をはるかに超えている。彼は自ら狩猟免許を取得し、地域の課題となっているエゾシカの駆除や、その皮を使ったレザークラフトブランドの立ち上げまで行っている。命を奪う責任と向き合い、それを余すことなく使い切る。その姿勢には、都会のスーパーでパック詰めの肉を買う生活では決して得られない、生々しい「命の循環」がある。
畑仕事も本格的だ。無農薬での野菜作りはもちろん、土壌の改良や堆肥作りから自分たちの手で行う。天候に左右され、思い通りにいかない自然を相手にすることで、人間がいかに無力であるかを日々実感するという。この「思い通りにならないこと」を受け入れるプロセスこそが、彼らの精神的な安定をもたらしている。