フルーチェの最大の特徴である「混ぜるだけで自然にとろみがつく」現象には、明確な食品化学の原理が作用しています。このプルプル食感の主役となるのが、果物(リンゴや柑橘類など)の細胞壁に含まれる天然の多糖類「ペクチン」です。
ハウス食品が長年培ってきた独自技術において、フルーチェの原液には酸処理を施した特殊な低メトキシルペクチン(LMペクチン)が高濃度で配合されています。このペクチン分子はマイナスの電気を帯びており、牛乳を注ぐことで牛乳中に豊富に含まれるプラスの電気を持った「カルシウムイオン(Ca²⁺)」と瞬時に結びつきます。
ペクチン分子同士がカルシウムイオンを架橋(ハシゴ)のように挟み込んで網目構造(ハニカム状の立体ネットワーク)を形成し、その網目の中に水分とミルクの脂肪分を閉じ込めることで、加熱も冷却もなしに「ゲル化(ゲル状に固まる現象)」が発生するのです。
ネット上でしばしば見られる「フルーチェが固まらない」という失敗の約9割は、「種類別:乳飲料」や「低脂肪乳飲料」を牛乳と誤認して使ってしまったことに起因します。美味しい作り方の鉄則は、パッケージの原材料表示を必ず確認し、「種類別:牛乳」と記載された冷えた牛乳を、注いですぐにスプーンで大きく手早くかき混ぜることです。