スキルス胃がんの治療地図は、分子標的薬と免疫チェックポイント阻害薬の融合によって大きく刷新されました。かつて「打つ手がない」とされた腹膜播種を伴う進行期に対しても、強力な選択肢が標準治療として定着しています。
最大の転換点となったのは、CLDN18.2陽性の切除不能・進行再発胃がんに対する標的薬「ゾルベツキシマブ(製品名:ビロイ)」の実用化です。スキルス胃がんを含むびまん性胃がんの約半数以上でクローディン18.2が高発現していることが確認されており、化学療法(FOLFOX療法やCAPOX療法)との併用で無増悪生存期間および全生存期間が有意に延長することが臨床試験で実証されました。
さらに、抗PD-1抗体である免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ(ニボルマブ)」を従来の抗がん剤に上乗せする治療法も確立されています。これにより、免疫系ががん細胞を攻撃する力を底上げし、これまで長期延命が困難であった患者群において持続的な腫瘍縮小効果が報告されています。
腹膜播種に対する局所コントロール技術も進化を遂げています。腹腔内に直接抗がん剤を注入する腹腔内投与療法や、カテーテル技術を用いた集学的アプローチが研究機関で進められており、腹水のコントロールと生活の質の向上が両立できるようになってきました。