彼女の名を世界に知らしめた金字塔といえば、日仏伊カナダ合作映画『シルク』(Silk)だろう。数千人のオーディションを勝ち抜き、言葉を持たない謎めいたヒロイン役に抜擢された当時の現場では、言語の壁を超えた異例の撮影アプローチが採られていた。フランソワ・ジラール監督はセリフに頼らない目線の動きや息遣いだけで感情を表現する天性の演技センスを高く称賛。極寒のロケーション撮影においても、一切の妥協を許さないプロフェッショナリズムで海外の撮影クルーを心底驚かせたという未公開のエピソードが残っている。
一方、国内で彼女のカリスマ性を決定づけたのが、サスペンスドラマの傑作『ブラッディ・マンデイ』での南海かおる役だ。テロ組織と戦う警察庁警備局対策室の捜査官として、キレのあるアクションと張り詰めた緊張感を見事に体現。共演者やスタッフの証言によれば、撮影の合間にも役柄の緊張感を維持するため厳しいトレーニングを積み、現場の空気を自然と引き締めていたという。こうした舞台裏でのストイックな姿勢が、キャラクターに唯一無二の説得力を与えていた。